思いやりの行動で医療と教育を結ぶ
藤田医科大学 防災教育センター
若月徹のプロフィールと理念
若月徹の歩み
個人的背景
  • 新潟県柏崎市出身の農家の長男
  • 3人兄弟(弟と妹がいる)
  • 父親は会社員でありながら農業を営み、地域活動に熱心
  • 子供の頃から宇宙やUFO、ネッシーに興味
若月先生の生まれ育った新潟県柏崎市の農村風景。地域との繋がりや父の姿勢が、現在の活動の原点となっています。
教育から研究へ、そして教育者へ
体育教師への夢
中学・高校時代は陸上部に所属し、高校ではインターハイに2回出場。その経験から体育教師を目指して体育大学へ進学しました。
研究の道へ転換
教育実習で教員への適性に疑問を持ち、研究者としての道を模索。大学院では宇宙医学を研究し、宇宙飛行士試験にも2回挑戦しました(残念ながら不合格)。
医学教育者として
防衛大学や大阪大学での勤務を経て、現在は藤田医科大学医学部健康科学准教授として、次世代の医療人育成に携わっています。
若月の人生は、挑戦と転機の連続でした。それぞれの経験が現在の教育理念に結びついています。
「究極のリタ主義」としての医療
医療とは「究極のリタ主義」です。つまり、他者のために行動することを根本とする活動なのです。
若月は医療の本質を「リタ主義」と表現します。これは「利他」、つまり自分以外の人のために行動することを意味します。この考えが、先生の教育理念と行動原理の核心となっています。
学生たちには座学だけでなく、実際の行動を通じてこの精神を学んでもらいたいという強い思いがあります。そのため、ボランティア活動を積極的に教育に取り入れています。
医学生が地域の方々に寄り添い、サポートする姿。若月先生が目指す「リタ主義」の医療教育の一場面です。
ボランティア活動を通じた教育
マラソン支援活動
2014年頃からウィメンズマラソンのメディカルサポーターとして活動。学生と共にゴール後に歩けなくなったランナーを車椅子で救護所へ搬送しています。
救急救命講習
学生に救急救命講習のインストラクター資格を取得させ、彼らが地域の方々に救命講習を行うことで教える側の経験を積ませています。
地域安全活動
災害支援から地域のスクールガードまで様々なボランティア活動に参加。医療の枠を超えた社会貢献の大切さを学生に伝えています。
これらの活動を通じて学生は、「ありがとう」という言葉が返ってくる経験を積み、医療者としての自信と思いやりの心を育んでいます。
能登半島地震での支援活動
迅速な行動の背景
2024年1月1日の能登半島地震発生時、若月は迅速に現地支援を決断しました。この行動の背景には、東日本大震災時に行動できなかった悔しさがありました。
「寒さで震えている人がいる」という思いから、すぐに行動を起こしたのです。自らの行動を通じて、学生たちに「動くこと」の大切さを示しました。
能登半島地震の避難所での支援活動の様子。若月と学生たちは避難所運営者の負担軽減に尽力しました。
能登半島での具体的な活動
避難所運営者の支援
避難所の「プルート」館長・副館長は24時間体制で働き、疲労が蓄積していました。若月先生たちは彼らの負担を軽減するため、様々な運営業務をサポートしました。
医療機関への支援
穴水総合病院が水不足に陥るなど、医療機関が十分に機能できない状況がありました。若月たちは必要な物資の調達や環境整備を支援しました。
学生の教育機会として
この活動は災害支援であると同時に、学生たちが「リタ主義」を体験的に学ぶ貴重な機会となりました。現場での判断力や協働する力を養うことができました。
「自ら考え、動く」という若月の教育理念が、この活動を通じて具現化されました。
若月の行動原則
自ら動く
「自ら動く」ことを最も重視し、自身が模範となって学生を指導しています。言葉ではなく、行動で示すことが最も効果的な教育方法だと考えています。
小さな行動の継続
小さな行動を継続することで、いつか大きな変化につながると信じています。一人ひとりの小さな行動が、社会全体を変える力になると教えています。
「やりたい」を大切に
学生の「やりたい」という気持ちを何よりも大切にし、自発的な行動を促進しています。内発的動機づけこそが持続的な活動の原動力になると考えています。
若月は常に自ら行動し、学生たちの模範となっています。この姿勢が学生たちの心を動かし、自発的な行動を促しています。
思いやりの心を育む教育
若月と学生たちのディスカッションで、単なる知識の伝達ではなく、医療者としての心構えについて深く考える機会を提供しています。
医療者の根本となる思いやり
若月は、医療技術や知識以上に「思いやりの心」を学生に伝えることを使命としています。それは医療者の根本となる資質だからです。
ボランティア活動を通じて「ありがとう」と言われる経験は、学生たちに大きな自信と喜びをもたらします。この経験が、将来医療者となる彼らの心の支えとなります。
「行動を通して思いやりの心を育む」というアプローチは、若月先生の教育の真髄です。
今後の展望:小さな行動から大きな変化へ
継続的なボランティア活動
様々なボランティア活動を通じて、学生の自発的行動を促進します。地域と連携し、医学生ができる社会貢献の場を広げていきます。
思いやりの心の涵養
医学教育における思いやりの心の涵養を重視した取り組みを続けます。技術だけでなく、患者さんの気持ちに寄り添える医療者を育てます。
社会変革への貢献
小さな行動の積み重ねによる社会変革を目指します。一人ひとりの「動く」という選択が、よりよい社会を作る原動力になると信じています。
「医療は究極のリタ主義です。自分のためではなく、誰かのために行動できる人を育てていきたいのです。」 - 若月徹
Made with